山梨中央銀行の新システム導入で思うこと
本日、平成22年9月23日、山梨中央銀行は来年1月に予定している新システムへの移行テストのため、ATM等のサービスを停止しておりました。山梨中央銀行の新システムは、それまでの汎用機のシステムから次世代オープン系勘定システムへの移行という大変なシステム切り替えのようです。私が注目するのは、今回のシステムが山梨中央銀行独自のシステムではなく、地方銀行数行が加盟するコンソーシアムで共同の勘定系システムを構築し、導入することです。
地方ではナンバーワン企業の銀行といえども、一行で情報システムを構築する負担は大きく、オープン系システムが進化した今の時代では同じ地方銀行と共同でシステムを開発運用する方が良いと判断したからです。銀行でさえ同じ業界内でのシステム共同化を進めている今の時代、多額の投資を行い、中小企業が独自のシステムを開発する時代ではない、と感じています。しかし、今はやりのSaaSは、汎用的に利用可能なグループウェアや営業支援といったシステムが中心で、基幹業務ではパッケージ利用が進んでいる会計システムや人事給与システムまでで、肝心の業種ごとの基幹業務で利用するにはまだ無理があるように思います。
そこで登場するのが、業種、業界での共同システムです。汎用的なシステムには無い独自色をある程度は持ちたいとすれば、同じシステム化目標を持つ企業とコンソーシアムを作り、共同システム化することが今後歩むべき道では無いかと考えています。ローカル色の強い地場産業では、互いに競合しあっている企業でも、末端の下請け企業までがピラミッド型に生産工程を形成していますので、業界全体で利用する共同システムの効果は大きいと思います。
受発注業務にペーパーは不要となり、インターネット経由で互いの受発注から請求支払までが管理可能となります。一番の課題は、競合同士の企業が、同じテーブルに座り、同じ目的のためにシステムの共同化に踏み出せるかにかかっています。地場産業などでは、1社のみが生き残るようなことはあり得ず、そのときには地場産業自身がその地域から消えてしまうのは必至と考えます。
銀行でさえ共同システム化する時代、ITへの投資を極力抑え、業界全体で管理業務のコストを大幅に削減する。市場の縮小で売上拡大が非常に困難な時代に、管理コストを大幅に削減する方法として、業界で検討を始めるべきであり、ITはすぐにでも実現可能な状況になっています。共同システムも、クラウドを利用することにより、大型のサーバも不要、参加企業が増えてもハードウェアを増強する必要もありません。後は、皆さんが協力し合って地域全体で生き残ろうとする共通の目的を持てるか否かです。
是非、皆様の業界でも検討をは初めていただきたいと思います。