中小企業基本法の定義 時代にそぐわないのでは?
私どもITコーディネータは、中小企業の依頼を受け、IT経営実現のためのIT戦略策定やIT導入支援等を行っており、県の産業支援団体や商工会議所等、中小企業支援団体の依頼で国の補助金等によりサポートすることが多いのですが、中小企業の定義を定めた中小企業基本法自体が時代にそぐわないのではないかと考えています。
今の中小企業の定義は、昭和38年(1963年)に制定されたもので、すでに47年が経過しています。昭和38年といえば池田勇人首相のもと、日本が高度経済成長に向かって突き進んでいる頃で、当然のこととして製造業の育成に全力をあげている時代です。
中小企業基本法における「中小企業の定義」を見れば、製造業を重点的に育成しようとしているのがよくわかります。しかし、それから半世紀が経過し、日本の産業構成も大きく変わってまいりました。流通はインターネットにより国の境が事実上無くなりつつあり、観光などサービス業の育成が重要視されて来ました。
このような時代背景の中で、未だに半世紀前の定義に縛られていることに疑問を感じます。私どもで、企業の負担を減らすために補助金をいただいて支援を行いたいと思っても、小売業は資本金が5千万円以下、または従業員が50人以下ということで、地方の100億円程度の売上のスーパーでもこの定義をオーバーし、サポートできないケースが多発しています。一方、製造業では売上400億円規模でも中小企業としてサポートできます。
資本金も、昭和38年頃は増資の際も額面だけを資本金に参入すれば良かったものが、今では、額面を超える金額、または発行価額の2分の1の金額のいずれか少ない金額が株式振込余剰金とし、残りはすべて資本金に参入しなければならないため、第3者割当増資等を行ったとたんに中小企業の枠をはずれるケースが多発しています。
国は、物作りが基本であり、今後も、日本は製造業を育成していくことが最重要であることは私も賛成ですが、他業種の育成も大変重要であると考えます。それには、今の中小企業の定義は、あまりに不公平と言わざるを得ません。
この件に関しては、いろいろな方にお話ししていますが、皆さん、あまり関心を持っていただいておりません。しかし、中小企業を育成するためには重要なことと考えます。